音楽とオーディオ
世の中には音楽ファンがいて、オーディオファンがいます。
この二つの趣味は誰もが同時に持っているとは限りません。
コンサートやライブハウスでの生演奏を楽しむ音楽ファンは、オーディオに感心は無いかもしれません。或いは、機械好きのオーディオファンは、装置から発するサウンドに関心を示しても、音楽そのものが好きかどうか定かではありません。
私は音楽が好きで、その音楽をよりよく楽しみたいという思いからオーディオファンになりました。
オーディオ装置は録音された音楽演奏を再生します。生演奏の素晴らしさは言うまでもありませんが、録音された音楽も捨てたものではありません。
考えてみてください。何十年も昔の時代に伝説的な名歌手がいたとします。例えば、エンリコ・カルーソーのような。
その歌がどんなに素晴らしかったのか? 現在の歌手のレヴェルと比べてどうなのか?
聴いてみたいと思いませんか? これが録音があれば聞くことができるのです。カルーソーの録音は1901年~1920年頃に行われており、今も残っています。
その一部はLPレコードで発売されました。当時はマイクロフォンもアンプもない時代です。ラッパの前で歌い、集音した音を機械的に円盤上に刻み込むという方法で録音されたものです。この録音を現代のコンピュータ技術により、実際のカルーソーの声に近い状態に再現するという作業が行われたのです。では、実際にそのLPレコードを再生してみるとどうでしょう! 十分に鑑賞に堪える音質でカルーソーの歌声が甦っていました。彼の声や実力は現代でも世界のトップレヴェルの歌手として通用することが判ります。この様に、カルーソーとまではいわなくても、世界で活躍する一流音楽家の名演奏を居ながらにして楽しめる。たとえ活躍した時代が古くても全盛時代の歌や演奏が楽しめるのは、録音という技術のおかげなのです。
そして、その歌や演奏を自宅の部屋で寛ぎながら、良いオーディオ装置があれば眼前で歌ってくれているように楽しめるのです。
録音技術と再生技術はとてつもない恩恵を私たちにもたらしてくれます。
またの機会に、一つ一つの名演奏盤やオーディオ(何せB級ですが)のあれこれもお話しできればと思います。