司法書士黒田雅一のブログ

司法書士として、またはそれにこだわらない趣味について語ります

忘れられたジャズの黄金時代~その2

「ジャズに名曲なし、名演あるのみ」という格言があります。

ジャズでは、アドリブ演奏といって、原曲のメロディーに捉われずコード進行を基にプレイヤーは自由に演奏する演奏形式があります。「原曲はアドリブ演奏の題材として利用するだけ」という部分を強調して言われる言葉なのです。

しかし、これはアドリブ偏重の一部のジャズについてのみ当てはまる言葉と言えます。

モダンジャズの演奏では、冒頭部分で原曲のメロディーを少しだけ匂わせ(結構面倒くさそうに)あとは、自由なアドリブ演奏に入ってしまい、原曲が何かも全く分からない演奏も多く存在します。

しかし、原曲の味わいをしっかり表現したジャズ演奏は多く存在しています。

 

好例を2曲お聞きください。

1曲目 ジャスト・ワン・モア・チャンス

    歌 ローズマリー・クルーニー

    伴奏 スコット・ハミルトン(テナー・サックス)

       ナット・ピアース(ピアノ)

       カル・コリンズ(ギター)

       モンティ・バドウィック(ベース)

       ジェイク・ハナ(ドラムス)

https://www.youtube.com/watch?v=3NE45tDfhhw

スイング時代の歌手ローズマリー・クルーニーは、1928年に生まれ、1940年代後期から1950年代にかけて活躍した歌手です。この録音は1978年といいますから、50歳頃のいわば第一線を退いてからの録音です。

この曲は、1931年にビング・クロスビーが歌い、ヒットさせたナンバーです。彼女は、ピング・クロスビーとは大変深い親交があり、映画やレコードアルバムなどでも共演しています。クロスビーは1977年に他界しましたので、その1年後の録音です。亡き友への思いを込めた味わい深い歌唱です。

私がこの演奏を選んだ理由ですが、ローズマリー・クルーニーは、いつも、アドリブなしで殆ど原曲に忠実に唄います。そのことから、ジャズ歌手としては低く評価されがちです。

しかし、私が思う最も望ましいジャズの演奏形式として、歌手がしっかり原曲を歌い、伴奏のプレイヤーたちが、歌手の歌にさりげなく絡み(オブリガードといいます)1コーラスが終わった後の間奏でたっぷりアドリブ演奏を聴かせる。そして再度歌手が歌って曲を閉めるというやり方があります。この様な演奏では、アドリブも原曲のムードを壊すことなく、名曲ならではの名演奏が成立するのです。

この演奏では、スコット・ハミルトンのテナー、カル・コリンズのギターが素晴らしいアドリブとオブリガードを聴かせてくれます。

 

2曲目 虹の彼方に Over the Rainbow

    歌 ジェーン・モンハイト

https://www.youtube.com/watch?v=btHgb4hRFiw

ジェーン・モンハイトは、2000年にデビューし、現在でも活躍中のジャズ歌手です。

彼女は現代の歌手らしく、アドリブも良く使いますが、幼い頃から両親から古き良き時代のジャズを聴いて育ったとのことで、原曲の持つ良さを大切に歌い上げてくれます。

この曲は、1939年の映画「オズの魔法使い」で若き日のジュディー・ガーランドが歌い、スタンダードナンバーとなった名曲です。彼女は、音程の高低差が非常に大きくて美しいいメロディーを誤魔化すことなく、見事に美しく表現しています。

 

如何でしたでしょうか?

このように、せっかくの名曲を演奏するなら、その曲が味わえる名演奏をしてほしいものですね。

 

では、今回はこのへんで!

忘れられたジャズの黄金時代~その1

皆さんは、“ジャズ”と聞いてどんな音楽を思い浮かべるでしょうか?

昨今、ジャズと言えば、殆どの方は、いわゆるモダンジャズを思い浮かべるようです。

おしゃれなバー等で流されている大人の雰囲気を作っているあの音楽です。

マイルス・デイヴィスソニー・ロリンズ等彼らの演奏こそがジャズらしいジャズとしてありがたがられています。

ジャズの歴史(何が正しいのかは明確ではありませんが)を見ると、1910年頃のニューオリンズの黒人たちの間でディキシーランドジャズというスタイルのジャズが生まれており、これが一般的なジャズ演奏の最初のスタイルではないでしょうか。ジャズ演奏のスタイルは、1920~1930年代を中心とするディキシーランドジャズから、1930~1940年代を中心に白人にも波及したスイングジャズへと発展し、この時代にジャズは大衆に受け入れられました。

数々の名曲、名歌手、名プレーヤーが生まれ、レコードやミュージカル映画は大衆娯楽として栄華を誇りました。ダンス音楽として、多くのラヴソングのヒット曲として大衆に親しまれましたが、1940年代後期になると、スイング時代の単純な音楽が飽きられ、小編成によるコンボ演奏でアドリヴ演奏中心のややマニアックな新しいジャズ演奏が現れ、これがモダンジャズと呼ばれるスタイルです。

こうして見ると、決してジャズ=モダンジャズというわけではありません。

しかし、残念なことに、モダンジャズ以外のジャズは人々の認識から外されてしまっているようです。

特に、1930~1940年代を中心(録音は1960頃まで続いています)に栄えたスイングジャズ時代には、時代に関係なく楽しめる数々の名唱名演奏が残されています。私はこの時代のジャズを黄金時代と呼んでいます。

今では、忘れられてしまった当時の名録音(私の独断選考ですが)を紹介したいと思います。

 

1曲目 先生のリンゴ  An Apple For The Teacher

  歌 ビング・クロスビー、コニー・ボスウェル

https://www.youtube.com/watch?v=maPxhzOQ6_4

1939年映画「ザ・スター・メイカー」の挿入歌として録音されました。デュエットの二人が楽しそうでほっこりします。ジャズを歌うなどという構えなど全く感じられず、普通に唄えばジャズボーカルになってしまうといった自然さは、本物のジャズ歌手と感じさせてくれます。コニー・ボスウェルの歌声はいかにもレトロっぽくて古き良き時代を彷彿させてくれます。ビング・クロスビーは、アメリカショービジネス界の超大物スターで1930~1950年代にトップスターとして君臨した大歌手です。あまり知られていない録音ですが、私のお気に入りです。

 

2曲目 ジングル・ベル

  歌 ビング・クロスビー、アンドリュース・シスターズ

https://www.youtube.com/watch?v=cUE4GEIP-_4

1943年の録音。ビング・クロスビーは、ホワイト・クリスマスの名唱で知られていますが、3人姉妹のコーラスグルーブ、アンドリュース・シスターズと歌っています。これほどゴキゲンでジャズっぽいジングル・ベルもなかなかありません。

 

3曲目 Who

  演奏 ベニー・グッドマン・トリオ

https://www.youtube.com/watch?v=-3OMRiPKJBg

1935年録音。キング・オブ・スイングと言われたクラリネットの名手ベニー・グッドマン率いる、ピアノ:テディ・ウイルソン、ドラムス:ジーン・クルーパのトリオ演奏の質の高さに驚かされます。軽妙でさらっと演奏してしまいますが、テンポ感の良さやソロ技術の高さは舌を巻くほどです。

 

以上、先ずは3曲をご紹介しました。

楽しんでいただけましたでしょうか?

モダンジャスを思い浮かべていた方には、違和感に困惑されるかも知れません。

私は、この当時の音楽に、なり振りを超えた真心を感じます。そして、理屈抜きの楽しさが伝わります。

もし彼女や彼氏を誘って、そこにモダンジャズの生演奏があれば、ムードの良いところに連れて行ってくれたと感謝されるかも知れませんが、ここで紹介したような生演奏に遭遇したなら、演奏のあまりの楽しさに貴方は忘れられてしまいそうに思えてなりません。(笑)

私も、モダンジャズを楽しみますが、スイング期の録音も今でもCD等のメディアを通じて楽しむことができます。埋もれていたジャンルの発掘で、古くて新鮮な楽しみを味わってみてはいかがでしょうか?

これからも、黄金時代のジャズについては続編にて紹介させて頂きますので、お楽しみにしてください。

今日のところはこのへんで!

音楽とオーディオ

世の中には音楽ファンがいて、オーディオファンがいます。

この二つの趣味は誰もが同時に持っているとは限りません。

コンサートやライブハウスでの生演奏を楽しむ音楽ファンは、オーディオに感心は無いかもしれません。或いは、機械好きのオーディオファンは、装置から発するサウンドに関心を示しても、音楽そのものが好きかどうか定かではありません。

私は音楽が好きで、その音楽をよりよく楽しみたいという思いからオーディオファンになりました。

オーディオ装置は録音された音楽演奏を再生します。生演奏の素晴らしさは言うまでもありませんが、録音された音楽も捨てたものではありません。

考えてみてください。何十年も昔の時代に伝説的な名歌手がいたとします。例えば、エンリコ・カルーソーのような。

その歌がどんなに素晴らしかったのか? 現在の歌手のレヴェルと比べてどうなのか?

聴いてみたいと思いませんか? これが録音があれば聞くことができるのです。カルーソーの録音は1901年~1920年頃に行われており、今も残っています。

その一部はLPレコードで発売されました。当時はマイクロフォンもアンプもない時代です。ラッパの前で歌い、集音した音を機械的に円盤上に刻み込むという方法で録音されたものです。この録音を現代のコンピュータ技術により、実際のカルーソーの声に近い状態に再現するという作業が行われたのです。では、実際にそのLPレコードを再生してみるとどうでしょう! 十分に鑑賞に堪える音質でカルーソーの歌声が甦っていました。彼の声や実力は現代でも世界のトップレヴェルの歌手として通用することが判ります。この様に、カルーソーとまではいわなくても、世界で活躍する一流音楽家の名演奏を居ながらにして楽しめる。たとえ活躍した時代が古くても全盛時代の歌や演奏が楽しめるのは、録音という技術のおかげなのです。

そして、その歌や演奏を自宅の部屋で寛ぎながら、良いオーディオ装置があれば眼前で歌ってくれているように楽しめるのです。

録音技術と再生技術はとてつもない恩恵を私たちにもたらしてくれます。

またの機会に、一つ一つの名演奏盤やオーディオ(何せB級ですが)のあれこれもお話しできればと思います。

相続登記(韓国籍関係)雑感~その2

在日コリアンの国籍について

 在日コリアンの方の住民票には国籍・地域欄があり、ここに、「韓国」と書かれている場合と「朝鮮」と書かれている場合があります。

 この朝鮮という記載を北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国)のことと勘違いされることがありますが、これは国名ではなく、朝鮮半島出身という地域を表した記載なのです。もともとは全員「朝鮮」でしたが、大韓民国への国民登録を行い、朝鮮→韓国に記載が変更されるのです。この手続きをした者だけが韓国、していなければ朝鮮のままというわけです。

 このような国籍に関する事情は、日韓の不幸な歴史と関係しています。

 次は、この歴史についてみてみたいと思います。今日はこのへんで。

相続登記(韓国籍関係)雑感~その1

在日コリアンについて

 日本には、第2次世界大戦の敗戦前に朝鮮半島から日本に渡って定住された方やその子孫の方が多くおられます。この方々は在日韓国朝鮮人とか在日コリアンと呼ばれることがあります。少し古いデータですが、日本国籍帰化された方は累計約36万人ともいわれています。また、現在、帰化されていない約45万人の在日コリアン定住外国人として日本で暮らしています。

 在日コリアンの方々は、日本に定住し、日本人と同じように働き、商売をし、保険に加入し、税金を支払って生活しています。当然のように不動産など様々な資産も保有することになります。この方々に相続が発生した場合、その方がたとえ日本国籍帰化していたとしても、不動産の相続登記等の手続きが生来の日本人に比べてより複雑になります。

 在日コリアンの方に相続が生じた場合、日本国籍帰化されていた場合でも、生来の日本人と比べて複雑な手続きが必要になります。

 その背景には歴史的な経過があり、それらについては後日に譲りたいと思います。

奈良県葛城市の葛の文字にご注意を!

奈良県葛城市に本店を置く会社の登記を依頼されました。普通にパソコンで打ち込むと「葛」と表示されますが、正式な文字は文字の下の部分が「人」(人かつ)ではなく「ヒ」(ヒかつ)になっています。

つまり、葛城市の葛の文字はヒかつが正式の文字なのです。

これは、葛城市の誕生当時の標準文字がヒかつであったことから、ヒかつが採用されたことによるものでしたが、その後、経済産業省の「JIS漢字コード表」の改正により人かつが標準になったため、正式な名称がパソコンで普通に打てなくまってしまったというのが実情なのです。

実は、パソコンでの入力時にフォントを選べばヒかつが出てくるものもあります。

法務局(少なくとも奈良地方法務局では)では、登記される文字はどうなるのかといえば、ヒかつで登記がなされます。たとえ申請書に人かつで記載されていたとしても、法務局でヒかつで登記がなされるようです。

公官庁への届出等の手続きの際も、葛城市の記載について、人かつで不利益がなされることはないようです。

この点は、葛城市のホームページにも説明がなされていますので、関心のある方はのぞいてみてください。

葛の字の取り扱い/葛城市 (city.katsuragi.nara.jp)

ちなみに、奈良県北葛城郡の葛は人かつなのです。

一字で神経すりへらしますね。

 

はじめまして 司法書士の黒田雅一です

はじめまして、司法書士の黒田雅一です。この度、ブログを始めさせていただくことになりました。私は、大阪市北区南森町にある事務所で司法書士を開業しています。この業界で45年、司法書士として登録してから30年にもなる古い時代からの司法書士です。
 司法書士といえば、不動産の相続・売買・担保設定登記、会社の設立・各種変更登記、裁判所提出書類や公正証書の作成などの仕事のご依頼を受けております。
 それらにまつわるお話しは勿論、趣味としての音楽・オーディオ・絵画鑑賞・グルメ(予算の関係で何れもB級です)についてもウンチクできればと考えている次第です。

 何しろブログ初心者、どのような展開になるか想像もつきませんが、何卒よろしくお願いいたします。